殺人・ドラッグ・少年犯罪なんでもありの神の街。恐るべき子供たちは人を殺し、犯罪を繰り返すことで、自らをいかす。生きるため、金のため、あるいは権力のために。しかし、そんな非日常ですら反復し、結局はクソにもならない日常に押し込められていく。血は血で塗り直されていく。諸行無常の神の街。
と、ここまで書くと単なるクレイジードラッグギャングムービーじゃねえのとか思うが、この作品はそうではない。これまでの日本やアメリカヨーロッパにはない、鮮やかな色彩感覚。これがブラジル特有のものがどうかはわからないが、その映像はかなり刺激的で美しい。そして、その鮮やかな色彩が、神の街にある生と死を際立たせる役割を果たしている。
また異常に揺れ動くカメラは揺れ動きながらも、人物や風景、あるいは死体や物を鋭く捉えていく。それはまるで、獲物を狙う獣の視線のようにゆっくりと着実に被写体に近付いていく。先日テレビでPRIDE GP 2005をみたが、準決勝に残った4人のうち3人がブラジル人だった。彼等は常に体を小刻みに動かしている。しかしその視点は揺れ動きながらも確実に相手を捉えている。このケモノのような視点とこの作品で描かれているカメラワークが自然と一致した。この作品にあるカメラワークと言うのは、映画的技法とか理屈ではなくこういうことなのだろうと思う。
これらの色彩やカメラワークと暴力が組み合わさり、圧倒的な映像を作り上げている。そして、その映像と緻密に構成されたシナリオとが組み合わさった素晴らしい映画である。
先にも述べたが、これは単なる暴力映画ではない。老若男女、映画好きから退屈な日常を嘆いている人にも必見の刺激的な映画だと思う。